テキストサイズ

Memory of Night

第6章 再会


 裏通りを抜け、人通りの多い表通りに出る。

 ふいに昼間志穂に言われた一言が脳裏に浮かんだ。


 ――その人のことをいっぱい考えたら恋よ。


 あの時、志穂との恋バナの中で頭に浮かんだのは晃だった。

 あの時だけじゃない。そういう行為の最中や、ふとした時に頭をよぎるのはいつも晃だ。


(……最悪……)


 どうして、晃なのだろう。

 すぐに浮かんだ答えに、宵は心の中で首を振った。

 晃は自分のことを、退屈をまぎらわすおもちゃ程度にしか思っていない。

 明とのことを疑ってお仕置きだのなんだの言ってきたのだって、どうせただの独占欲から。

 晃は宵を、暇をもてあます自分の都合に合わせて買っていただけなのだ。

 でも、それを言うなら宵だって、同じようなものだった。

 金を集めるために、いろいろなヤツと肌を重ねたり唇を重ねたりしているのだから。……金のために、人を利用した。

 晃だって、その一人にすぎないのだ。

 晃に好きに扱われた分報酬はすごい額を貰えた。

 晃とやるのは、それでいい。金と体だけの関係で……お互いの利益のためだけの関係で良かった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ