ぜんぶ俺の物〜ケダモノ弟の危険な独占欲〜
第1章 1
「え、転勤?」
「うん。突然こんなこと言ってごめんね」
シャワー上がりのさっぱりした顔で首にタオルを引っ掛けながら、瑛人さんはリビングのソファに腰を下ろすなり開口一番にそう言った。
「来期から会社の大事なプロジェクトが動き出すんだ。その現場責任者として、俺から志願した」
「瑛人さんから?」
来期といっても、あと数カ月もない。
職場もアパートもお互いほど良い距離感だから、瑛人さんの仕事が忙しくても交際は順調だったのに。正直、動揺を隠せない。
たしかに、順大手の建設会社だから、全国の事業所へ転勤があることは、内定をもらった当初から聞かされていた。でも、何も自分から転勤の志願なんてしなくたって。
「多分、短くても五年は戻れないと思う」
「五年、も」
その言葉に、私の頭の中は真っ白になった。
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