ぜんぶ俺の物〜ケダモノ弟の危険な独占欲〜
第1章 1
もう三年も前の出来事なのに、私はいまだに亜貴と過ごした当時の記憶が忘れられないでいる。
あれから私は無事に地方の企業に内定が決まり、宣言通り家を出ることになった。さらに、アルバイト先の先輩から退職直前になって突然の告白をされ、お付き合いすることになった。
亜貴には直接伝えられなかった。だから、夕食中にそれとなく話題に出した。
次の日、亜貴は家出した。
「ふ……っう、ん……」
ベッドの上で乱されながら、私はぼんやりと亜貴のことを思い出していた。
亜貴とは違う太い指に狂わされ、亜貴とはちがう、大きな背中に爪を立てながら。
愛と欲にとろけた彼の顔に弟の面影を重ね合わせ、消せない過去を、溜め息で濁そうとする。
「瑛人(えいと)さん……っ」
「ん……、りっちゃん……、愛してるよ」
私の過去を知ったとき、彼はどんな顔をするのだろう。
どんな大切な人にも決して言えない過去が、私にはある。
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