テキストサイズ

イジワルな彼女。

第7章 茜-アカネ-


やっぱり校長の話は長かった。

残すはHR。
これさえ終われば、今日は帰れる。


「じゃあまずは、宿題済ませた奴は提出〜」

クラスの3分の2ほどが席を立ち、
担任のもとに列をなす。

亮太はというと…
神田の買収には失敗したようで、
誰かに借りたノートを必死に写している。
しかし無惨にもそのノートは、
担任の手により没収された。

「あ"ぁぁぁぁー…」

亮太の悲痛な叫びが響くと、
みんなの笑い声で教室は包まれた。

「山岡!俺は寛大だから、
今日の17:30まで猶予をやる。
まだ出してない奴も、それまでに
俺んとこへ持ってこい!」

担任の西野からの朗報に、

「っしゃー!あざっす!!!」

亮太の歓喜の声があがった。

「…あとは、
来月の文化祭の出し物と係を決めたら
今日は帰っていいぞ〜」

そう言って、西野は教室から出ていった。


高校最後の文化祭。

黒板には、
・メイド喫茶
・おばけ屋敷
・男装女装カフェ
・リアル脱出ゲーム
・SNS映えスポット(展示)
・ダンス
・演劇
など、みんなから出された案を
学級委員が書き出していく。

僕はそれをぼーっと眺めていた。

アイデアが出揃った所で多数決をとり、
結果は…男装女装カフェという名の
コスプレクレープ屋に決定した。

準備期間は限られているし、
みんな放課後は受験勉強に時間を充てる。
係を決めるくじ引きは、とても重要だ。

出席番号順に、くじを引いていく。
僕の引いた係は…ウェイター(3)だった。

「まじかよ…」

裏方希望だった僕は落胆したが、
亮太も当日の受付係に決まったので
少しだけ僕の気は晴れた。

クラス全員の役割分担が決まると、
係ごとに集まり軽く打ち合わせをした。
そして、話し合いを終えたグループから
それぞれ解散の流れになっていった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ