
イジワルな彼女。
第6章 密-ヒソカ-
電車は次の停車駅に到着した。
ここで降りて、次の電車に飛び乗れば
さっきの駅にいたあの女性に
逢えるかもしれない。
…いや、無理だ。
僕は、女性の姿が見えなくなってから
すぐさま反対側ホームの
電車の到着時刻をスマホで調べていた。
僕が乗った電車が発車した直後に、
反対側ホームに電車は到着済みだった。
彼女の姿は、もうないのだ。
「ドアが閉まります」
車内アナウンスが流れると、扉は閉まり
僕はそのまま電車に揺られ帰路についた。
最寄り駅近くにある、
よく立ち寄るコンビニを僕は通りすぎた。
そして唯さんと初めて出逢った
あの道の真ん中で、僕は独り立ち尽くす。
すると、ポケットの中でスマホが震える。
僕は少し先の十字路脇まで歩き、
そこでスマホを取り出した。
