テキストサイズ

イジワルな彼女。

第6章 密-ヒソカ-


反抗期らしい反抗期がなかった僕は、
そもそも人と揉めたりするのが面倒だから
感情を表に出すことはあまりない。

それに、一人っ子だから
兄弟喧嘩もしたことがない。
いや、それだけでなく
友達との派手な喧嘩とも無縁の17年間だ。


自分で言うのもなんだが
世間的には、そこそこの学力の優等生。
母親からは、手のかからない自慢の息子?
父親からは…分からない。
なにせ、昔から仕事一筋の人だから
育児も家事も母親任せだった。
今も僕の進路に対して口出ししてこない。

母はそんな父のどこを好きになったのか?
そして結婚、出産に至ったきっかけは
果たして何だったのだろう…。


亮太と原の影響からか
ふと、僕の頭にはそんな疑問が浮かんだ。

ピー ピー ピー

だが、レンジの音と共に
キッチン中にいい香りが漂うと
僕の疑問は瞬く間にかき消されていった。

生姜焼きとご飯をテーブルへ運ぶ。
昨夜から何も食べていない僕の胃袋は、
初めは歓迎ムードだったのだが…
さすがにボリュームがありすぎたようだ。
タッパーは、そのまま冷蔵庫に戻した。
因みにタッパーの中身は、
母親がベランダで育てているプチトマト。
プチトマトの他にも、ハーブだったり
よく分からない野菜?だったり…
プランターの植物は季節毎に変化する。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ