
イジワルな彼女。
第5章 巡-メグル-
「…」
頭ではそう思っていても、
やり場のない想いだけが胸を支配する。
どうしようもないこの感情を、
一般的に『恋』と呼ぶことくらい、
僕は知っている。
ただ、恋に落ちたことは初めてで
僕はどうしたらいいのか分からない。
こんな僕だが、
実は元カノが存在する。
…元カノと呼んでもいいのか迷うけれど。
高一のときのクラスメイトで、
彼女の方から僕に告白してくれた。
僕も彼女のことは嫌いじゃなかったし、
周りから…特に亮太に乗せられて
彼女と付き合うことになったのだった。
僕にとって初めての彼女。
…春菜はいっつも明るくて、
見た目も僕には勿体ないと思う可愛さだ。
だから今でも学校で顔をあわせると、
ついドキッとしてしまう。
それなのに、
そんな春菜を僕は傷つけてしまった。
