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『untitled』

第7章 青春18きっぷ - story Ⅱ-

【相葉side】

「ねぇ、これは?」

「あぁ、これはこうして……って、さっきもやっただろ!」

最初は質問されるたびにゲームの手を止められてイライラしてたけど、今はゲームを諦めて俺につきっきりで教えてくれる。

ってか、俺が離さないんだけどね?

本当はもっと色々と話したいんだけど……


『もし1週間でパソコンをマスターできなければ陸上部に相葉をもらう』

珍しく風間ぽんが声を荒げて櫻井先輩に言い放った言葉。

風間ぽんは俺がパソコン音痴だって事はよーく知ってるし、ましてや1週間でなんて短い期間でなんか絶対に使いこなせるはずかない。

『わかったよ、その条件……のんでやる』

けど櫻井先輩は強気で風間ぽんの要求をすんなり受け入れた。


「じゃあ、これは?」

「それもさっきと同じ。メモくらい取れよ」

「俺、回数こなさないと覚えられないんですよねー」

「嘘だろ……」

ニノちゃん先輩は大きな溜め息を漏らした後、頭を抱えて机にひれ伏した。

「おい、サボってる暇はねーぞ」

「じゃあ、あなたが指導して下さいよ」

顔を上げたニノちゃん先輩はジト目で櫻井先輩を見た。

「俺は他の新入部員の指導忙しいの」

「みんな優秀ですよ、誰かさんと違って」

今度は俺をジト目で見つめる。

「余計な知識がないと吸収も早いと思うぞ」

「ただのバカの可能性もあります」

「ニノちゃん先輩、ヒドイ~」

どさくさ紛れにニノちゃん先輩に後ろから抱きついた。

「おまっ、やめろ!」

「いてぇぇぇぇぇ」

俺の頭にニノちゃん先輩の鉄槌が下る。

「あの、静かにしてもらえますか!」

楽しい会話に割って入った叫び声に目をやると、いかにもなガリ勉がこっちを見ていた。

「わりぃな。ほら……ちゃんとやれよ」

ガリ勉の顔を立てるように俺たちに櫻井先輩が注意する見ると、プイっとそいつは顔を背けた。


まさかそいつが……

あの大騒動の元凶を作るとはその時は思ってもいなかった。

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