
『untitled』
第5章 赤いシクラメン
まだ少し汗で濡れる髪を優しく撫でるけど、翔は起きる事なく規則正しい吐息を繰り返す。
「無理……させ過ぎたな」
聞こえない反省を言葉にはしたけど後悔はしていない。
薬の作用もあったけど……
俺のありったけの愛を翔の身体に刻み込んだ。
起きた瞬間に身体は悲鳴をあげるけど、その痛みを愛の証だって思ってくれれば嬉しい。
チュッと頬にキスを落とすと、寝室を出た。
ソファーに置きっぱなしになったスマホを拾い、タップして電話をかける。
『もしもし』
深夜にも関わらず、聞こえてくる声はいつもと変わらない。
「夜遅くにすみません」
『ふふっ、気にしないでいいわよ。かかってくると思っていたから』
「やっぱり、社長が……」
あの女が出ていって、バドラーが部屋を去る間際に言った『あなた方を一番、応援されてる方』
俺がすぐに頭に浮かんだのは社長だった。
『あの女優にどの事務所も頭を抱えていてね。どうにかしたって思った時に大野から連絡があってね。申し訳ないけど利用させてもらったわ』
「利用?」
『あの女を排除出来れば、手を焼いていた他の事務所にも借りが出来るでしょ?だから狙われているのをわかった上であなたをホテルに行かせたの』
あの女より社長の方が一枚も二枚も上手だったし、どちらにしろ女って本当に恐ろしい。
『それに櫻井が止めに行くのもわかっていたから』
そして先を読む力も、って……
「社長、まさか俺らの……」
『スキャンダルは命とりなんだから気を付けなさいよ。まぁ、一緒にいたって疑われないけどね。松本にしても……ホントいいマネージャーがついたわね』
「はい」
それだけじゃない。
俺が出会えてたのはこの事務所に入って社長に目をかけてもらったからだ。
でもその気持ちは俺らを危険な目に遭わせかけたので心に留めておいた。
『じゃあ、明日もよろしく頼むわよ』
「はい、色々とありがとうございました」
翔……起きても何も心配ないからな。
「無理……させ過ぎたな」
聞こえない反省を言葉にはしたけど後悔はしていない。
薬の作用もあったけど……
俺のありったけの愛を翔の身体に刻み込んだ。
起きた瞬間に身体は悲鳴をあげるけど、その痛みを愛の証だって思ってくれれば嬉しい。
チュッと頬にキスを落とすと、寝室を出た。
ソファーに置きっぱなしになったスマホを拾い、タップして電話をかける。
『もしもし』
深夜にも関わらず、聞こえてくる声はいつもと変わらない。
「夜遅くにすみません」
『ふふっ、気にしないでいいわよ。かかってくると思っていたから』
「やっぱり、社長が……」
あの女が出ていって、バドラーが部屋を去る間際に言った『あなた方を一番、応援されてる方』
俺がすぐに頭に浮かんだのは社長だった。
『あの女優にどの事務所も頭を抱えていてね。どうにかしたって思った時に大野から連絡があってね。申し訳ないけど利用させてもらったわ』
「利用?」
『あの女を排除出来れば、手を焼いていた他の事務所にも借りが出来るでしょ?だから狙われているのをわかった上であなたをホテルに行かせたの』
あの女より社長の方が一枚も二枚も上手だったし、どちらにしろ女って本当に恐ろしい。
『それに櫻井が止めに行くのもわかっていたから』
そして先を読む力も、って……
「社長、まさか俺らの……」
『スキャンダルは命とりなんだから気を付けなさいよ。まぁ、一緒にいたって疑われないけどね。松本にしても……ホントいいマネージャーがついたわね』
「はい」
それだけじゃない。
俺が出会えてたのはこの事務所に入って社長に目をかけてもらったからだ。
でもその気持ちは俺らを危険な目に遭わせかけたので心に留めておいた。
『じゃあ、明日もよろしく頼むわよ』
「はい、色々とありがとうございました」
翔……起きても何も心配ないからな。
