
『untitled』
第5章 赤いシクラメン
彼女のマネージャーから聞いたホテルは
誰もが一度は名前の聞いたことあるホテルで。
このホテルのスイートルームで俺たちは結ばれたんだ。
昔、このホテルのスイートで雑誌の撮影したことがあった。
その雑誌の創刊30年の特別記念号の表紙と潤の特集ページが組まれることになったんだ。
潤には少し、大人な雑誌で。
髪型もメイクも、洋服も。
いつもより、ずっと、シックで、大人っぽくて。
サテン生地のパープルのパンツに白いTシャツ姿
ネクタイだけで、ン十万というスーツ姿
ベージュのニットにヴィンテージのジーンズ姿
見たことある姿なのに、すごくドキドキしたのを覚えている。
インタビューの間も時折、俺に視線を合わせてきて…
溢れてくる気持ちに無理矢理蓋をして過ごしていた俺。
潤から放たれる色気は凄まじくて。
撮影を終えた潤に唇を奪われたんだ。
驚きと喜びと、それらを上回る快感。
『俺が…欲しい?』
雑誌の撮影後、部屋をそのまま借りることを事前に手回ししていて…
俺の気持ちはとっくに潤に漏れていたんだ。
週末のホテルのロビーは腕を組み見つめあうカップルや肩を寄せあうご高齢のご夫婦などで賑わっていた。
ロビーを通りすぎて気持ちを落ち着かせようとトイレへ行こうと思った。
ちょうど、エレベーターが到着したところでそのなかに見慣れた人物がいた。
「あら、櫻井」
社長がエレベーターから降りてきた。
隣にいた男性にそっと耳打ちすると男性は俺に頭を下げてそこを離れた。
「お、お疲れさまです」
「怖い顔してる」
「社長…俺…」
「1103号室」
「え?」
「私はあなたを信じてるわ」
「……?」
「だから、好きにやりなさい」
社長はそれだけ言ってヒールをコツコツと鳴らしてさっきの男性と腕を組みホテルから出ていった。
あの男どこかで…
そんなことより…
「1103号室か…どうしたもんか…」
どうやって、部屋まで行くか、行ったところでスイートだ。
部屋のなかに入ることなんて出来るだろうか…
さっきから何度か潤のスマホに電話をかけるがちっとも応答がない。
変なことされてなきゃいいけど…
誰もが一度は名前の聞いたことあるホテルで。
このホテルのスイートルームで俺たちは結ばれたんだ。
昔、このホテルのスイートで雑誌の撮影したことがあった。
その雑誌の創刊30年の特別記念号の表紙と潤の特集ページが組まれることになったんだ。
潤には少し、大人な雑誌で。
髪型もメイクも、洋服も。
いつもより、ずっと、シックで、大人っぽくて。
サテン生地のパープルのパンツに白いTシャツ姿
ネクタイだけで、ン十万というスーツ姿
ベージュのニットにヴィンテージのジーンズ姿
見たことある姿なのに、すごくドキドキしたのを覚えている。
インタビューの間も時折、俺に視線を合わせてきて…
溢れてくる気持ちに無理矢理蓋をして過ごしていた俺。
潤から放たれる色気は凄まじくて。
撮影を終えた潤に唇を奪われたんだ。
驚きと喜びと、それらを上回る快感。
『俺が…欲しい?』
雑誌の撮影後、部屋をそのまま借りることを事前に手回ししていて…
俺の気持ちはとっくに潤に漏れていたんだ。
週末のホテルのロビーは腕を組み見つめあうカップルや肩を寄せあうご高齢のご夫婦などで賑わっていた。
ロビーを通りすぎて気持ちを落ち着かせようとトイレへ行こうと思った。
ちょうど、エレベーターが到着したところでそのなかに見慣れた人物がいた。
「あら、櫻井」
社長がエレベーターから降りてきた。
隣にいた男性にそっと耳打ちすると男性は俺に頭を下げてそこを離れた。
「お、お疲れさまです」
「怖い顔してる」
「社長…俺…」
「1103号室」
「え?」
「私はあなたを信じてるわ」
「……?」
「だから、好きにやりなさい」
社長はそれだけ言ってヒールをコツコツと鳴らしてさっきの男性と腕を組みホテルから出ていった。
あの男どこかで…
そんなことより…
「1103号室か…どうしたもんか…」
どうやって、部屋まで行くか、行ったところでスイートだ。
部屋のなかに入ることなんて出来るだろうか…
さっきから何度か潤のスマホに電話をかけるがちっとも応答がない。
変なことされてなきゃいいけど…
