テキストサイズ

『untitled』

第2章 青春18きっぷ

〈二宮side〉


裏にいてもわかる体育館内のざわつきと先生の注意する声。

「最後は情報処理部です」

生徒会長が部活名を言うと同時に俺は壇上へと向かう。

『やっと最後だよ』
『はぁ、疲れた』

ざわつきはMAX。

安堵の声やなまった身体を解すように伸びをする姿が目に入ってくる。

そして早く終われよという視線をヒシヒシと感じる。


俺だって早く終わらせたいよ!


「情報処理部は……」

溜め息をつきたい気持ちをグッと抑えながら、俺は淡々と原稿通り説明を始めた。


誰か……聞いてくれているのかな?


原稿に置いていた目線を上げ、1年生が並ぶ方へと向けた。


後ろを向いて談笑するヤツら。

堂々と欠伸をする奴。

目を閉じて首がカクンカクンしてるヤツ。


廃部、決定だな。

さようなら……俺のゲームライフ。


でも、もしかしたら……


なんて有りもしない期待を捨てれないまま辺りを見回していると、顔を上げて俺を見ている人がいた。

後ろから肩を叩かれているがこっちをジッと見ている。


あの人って……さっきぶつかった人?


何で説明を聞いてくれてるの?


容姿から見て、絶対に運動部でしょ?



遠いから俺が見ていることなんて気づいてないかもしれないけど……



この人に俺は望みを俺は託すしかない。



「情報処理部をよろしくお願い致します」

その人に向けて部活紹介の言葉を締めくくった。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ