テキストサイズ

先生の秘密

第5章 ◎三角関係

和樹は顔色ひとつ変えなかった。
「まぁ気づいてたけど。あのさ、ここ」
和樹が真剣な眼差しで言う。
「うん…?」
「俺ら、ちょっと離れよう。っていうか俺がここから離れる。」
え………?
「離れる…?」
「離れるってゆうか、距離を置こう。行き帰りも、別々にしよう。」
幼稚園からいつも一緒だったあたしたち。
隣に和樹がいるのが当たり前で。きっと和樹の隣にあたしがいるのも当たり前だったと思う。
そんな和樹と、距離を置く…。
「俺はもう、ここのことただの幼なじみとして見られない。…ごめんな。俺の勝手だ」
「和樹…口は利いてくれるよね…?」
「…おう。」
「わかった…。あたしも和樹に甘えてたとこがあるから。なんか変な言い方だけど…和樹離れする」
「じゃあ…俺、晩飯食いに戻るわ。おやすみ、」
「おやすみ…」
いつもおやすみの後に頭をポン、とされることもなくなって。
その日から和樹はあたしの家に来なくなった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ