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妖魔の憂鬱

第4章 朝田 章市(あさだ しょういち)

章市は衣装を選ぶことよりも、次第に…側に付いて色々と世話をやく優月に、興味を奪われていった。

自由奔放に飛び回り、蝶よ花よと持て囃される女性に牽かれる男達も世の中には少なくないが、章市は今の優月の様な女性が好みだ。勿論、そんな事は事前に調査して優月は今日の格好を選択した。

優月の着ているブラウスは、キッチリと第一ボタン迄閉められ、パンツスーツの中に収められていて卒がなく、スッキリと纏められた髪にも隙がない。一見枯れているかの様な、雄を寄せ付けないと誇示する様な優月を乱す妄想に、章市は興奮していた。

「こちらの衣装で、お決まりですか?」
「…えっ!?あっ!はい…それで」

優月の問いかけで現実に引き戻された章市だが、まだ上の空で有ることは明らかだった。

「お手伝いします。こちらへどうぞ」

隣接された部屋に案内される間の章市は、優月の華奢な腰の括れの下に有って、しなやかに揺れるお尻にダイビングしたくなる衝動と闘っていた。膝元にタックルしてベッドに押し倒し、お尻の中に顔を埋めたい。

最初は驚き…逃げる様に恥じらっていても、本当は早く奪って欲しかったと優月に言われる…。そんな妄想を章市は繰り返して、喉の辺りをチリチリと熱くさせていた。

いつもの章市なら…自分がタックルするなんて乱暴で、育ちを疑われる様な行動をとる事は無い。例え相手が、永遠を誓った妻の順子であったとしても…。


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