
Deep Night《R18版》
第5章 Dog
男が善良な心を持っていなければ見捨てることも出来たが正義感が強い男ゆえ、それは出来なかった。
カーテンを開け外にいる店員を手招きして呼ぶミヨコは男に視線を向ける。
「すいません、お客様が明日も指名してくれるみたいなんですけど」
「……予約ですか?」
ミヨコが店員に声を掛けると疑うように男を見て確認する。
「はい。ゆっくりと泣かせていきたいなって思って。とりあえず今日は互いを知るために我慢しましたけど、僕時間掛けるタイプなんで」
ニッコリ笑みを向けてポケットから1万円を出し、店員の胸ポケットに入れる。
「よろしくお願いしますね」
「……承りました」
「ありがとうございました。また明日もよろしくお願いします」
部屋の前で見送るミヨコと店員を背に男は店を出た。
