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ただ今嫉妬宮発動中!

第2章 嫉妬宮その2~N×J



でも。

そんなオレの想いとは裏腹に、その日は
突然やってきた。



和が今。



オレと翔君が、一緒に話してる時に
現れたんだ。



見られた。



和に……



翔君だけは、今思ってもやっぱり
会わせたくなかった。



だって。



案の定。



和の様子が明らかにいつもと違ったから。




笑っているけど、その目の奥は冷たい感情が
潜んでいるように見えた。




ずっとずっと一緒にいる
和の少しの感情の変化に
オレが気付かないはずがない。



翔君を穴が開くほど、ガン見してる和に。




オレは、あの日と似たような恐怖が
蘇ってきた。




みーちゃんにもらった手作りのクッキーを
ゴミ箱に捨てられて。


次の日は、学校でみーちゃんに酷い事を
言わざる得ない状況を、作った和に……



オレは、従わないといけなくなった、和の
あの言葉を思い出した。



「潤が他の誰かにいっちゃったら、オレ死ぬよ?」



って。


あの言葉が鎖になって、ずっとずっと
絡まっていて。



オレは、誰も好きにならないように
無意識のうちに心に、蓋をしていたんだ。



和だけ愛せるように……って。


  

でも、オレは、翔君と出会って。



この人の事は、絶対、みーちゃんみたいに
傷付けたくないって思ったんだ。



あの頃は何にも出来ない、ただのガキだったから。



和の絶対的、支配のもと……
ただ、従うしかなかったんだけど。




今は。



せっかく久しぶりに出来た友達の
翔君だけは、和の思い通りにはさせたくない
気持ちの方が強くて。



和を出来るだけ、今は刺激しないようにって


心の中で最新の注意を払ったはずだったけど。




オレがいけなかったんだろうね……



完全に、和を怒らせてしまったのが
分かった。



「離せよ。触んな」




って言ってオレを見た和の目が余りにも
哀しそうで……それでいて嫌悪感むき出しで。


先に帰ると言ってた和に。


オレは、それ以上声を掛ける事が
出来なかったんだ。






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