
ロリヴァンプ伯爵の鼻唄🎵
第3章 伯爵と通り魔
――――…その頃…
アレキサンダーは何百年かぶりに怒っていた…
もちろん、アンティークのナイフが自分の手のひらを傷つけているから…ではない…
足元に散らばる長さのバラバラな…艶やかな黒髪のせい――――…そして…
甘く懐かしい――――…処女の血の香りのせい――――…
「おい――――…ジジイ…お前はすみれに何をした?」
「金持ちのバカ息子かなにかか?――――…アンティークの価値が分からぬお前たちが…美しい芸術をダメにするんだ!」
アレキサンダーが握るナイフがピクリとも動かない事に怯えたのか…オーナーはナイフから手を離し後退りする
「ジジイ――――…質問に答えろ…」
アレキサンダーはオーナーを上から見下ろし威圧し続ける
「――――…ガキだからだ!
高級住宅街に住むガキが学校帰りに毎日…毎日…毎日…ショーウィンドウのアンティークテディベアを“汚い、臭そう、目が怖い”とか言いやがる!
ガキにアンティークの良さが分かるわけがない!
アンティークテディベアのあの子達の方が…歴史もあり!ガキどもより貴重なのに!――――…何様だよ!
ガキは…嫌いだ!嫌いだ――――…だから、だから…お仕置きしてやった――――…フフフ、フフフフフ…反省するといい!」
オーナーは後退りしながら自分は悪くないと…怯えた目でアレキサンダーを睨む!
