
ロリヴァンプ伯爵の鼻唄🎵
第6章 伯爵と訪問者
「そうですか?ショートカット、有森様お似合いですよ?」
奥さんは柔らかい物腰でホホホと、笑った
「じゃぁ、お屋敷までお車だしますね」
「あっ、大丈夫です!最近、運動不足ですから歩いて帰ります!ジャム作りに参加させて頂き本当にありがとうございました」
私はカゴを持つと工房を後にした――――…
天気もよくて葡萄園を抜け屋敷までは一本道
車が通る大きな道とは別の葡萄園と屋敷をつなぐ砂利道
木が生い茂り木陰も屋敷まで続いている
「散歩するにはちょうどいい距離と環境!はあ~!空気が美味しい!都会とはやっぱり違うなぁ…贅沢…」
「“贅沢”?――――…こんな不便な場所にあって“贅沢”って…君――――…最近ここに来た使用人?」
「///ヒッ――――!だ…だれ!」
私は行きなり目の前に現れた長身の黒髪男性に跳ねて驚いた!
「い、いつから――――…そこに!?」
「目の前を歩いてきただけだ…体力も戻ったし、気分も良いし…歩いて帰ろうと――――…」
言われてみれば…誰も歩かないだろうと、小道の脇をみたり…木を見上げたりしながら歩いていて…前を気にしていなかった
「――――そ、そうですか…屋敷の――――…訪問者の方?っ、と保険の…」
「保険――――…?フッ…ええ…“保険の”です」
男性は笑いながら頭を下げた――――…
私もつられて頭を下げた
「君は――――…葡萄園にお使いでもしていたのかな?アレキサンダー様の好みそうなロリータ服着せられて…他の使用人とは違うね――――…ピノ彦君寄りの娘かな?」
「ピノ彦君――――…寄り?…いえ…私は「ジャムは上手に出来ましたか?」
「///キャッ!ピノ彦君!?」
