
ながれぼし
第8章 in the water
「とっ…」
完全無防備だった背中への一撃。
俺は咄嗟に、つんのめりそうになったのを堪えた。
あっぶな…
だって、すぐ目の前には大野くん。
そして
時間差で背中に現れた ジンジンとした痛み。
そうだった…この人……
大「ちょっ…もぉ!いきなり叩いたらびっくりしちゃうじゃん!
大丈夫?松本くん。痛くなかった?」
そう言って大野くんが俺の顔を覗く。
「あ、大丈…」
「あ?叩く?何処が叩いてんだよ!
背中に手をあてただけだろうが!」
そして、今度はバシバシと俺の背中を叩いた。
「うおっ…」
二打撃目。
…この懐かしい感じ
大「手加減!馬鹿力なんだからっ!」
「なっ!馬鹿だと!……って ん?」
そのまま俺の背中に当てられていた手。
ん?とその人は、眉を寄せた顔で俺と大野くんの間に入り…
さわさわ。
もみもみ。
と、そのゴツゴツと大柄な手で、俺の肩と腕を揉んできた。
「んん?」
「……」
大「え?なにして…」
「この筋肉…」
その人は、肩から俺へと視線を上げて
大「…あ…」
「ぼーず、水泳か。」
はっきりと聞いてきた。
「…」
答える前に、確認するように、大野くんへ目を向けたけど
大「、待っ…」
「はい。俺、水泳部です。」
大「!!」
ヤバい!と焦った顔の大野くんを尻目に、迷うことなく、しっかりと答えた。
