
ながれぼし
第8章 in the water
あーだこーだ
こーだかどーだか
やんややんや
大野くん。と、お父さんは
それなりの大声で、言い合いをし
大野くんが、ぐいぐいと腕を引いて
俺達がポカン。と立つプール施設前から離れていく。
気が付けば
もうそんな声も聴こえなくなるほど
遠くに行ってしまった2人。
…あの2人…
相「な、なーんだ!あの人、おおちゃんのお父さんだったんだね。変質者じゃなくて良かったぁ。」
盛大に安堵の溜め息を吐いた。
ニ「それはそうだけど……やけに若くない?」
「ね!すっごい若いんだね。俺、びっくりしちゃった!」
2人に向かって今さら大きくバイバーイ。と手を振る雅紀。
ニ「若く見えるだけなのか…結局、いくつなんだろうね。」
相「それもだけど、なによりちょーイケメン!
やっぱりイケメンのお父さんはイケメンなんだね♪」
ニ「そう?まぁイケメンっちゃイケメンだとは思うけど…」
相「? あ…なになにぃ?櫻井先輩のイケメンには足元もおよびませんって〜??(ニヤニヤ)」
ニ「っはっあぁぁ?!だっれがんなこと言ったんだよ!!」
相「もぉぉ惚気ないでぇ。」
ニ「どこが惚気てんだよっ!」
相「いひひひ♪」
なんて、俺の隣で盛り上がる2人。
確かに、大野くんのお父さんは
若…く見える。
そして、イケメンだ。
勿論、櫻井先輩もイケメンだけど。
…
……
……けどさ、あの人
「大野くんと、似てないよな。」
相「…え?あぁー。そう言われれば、おおちゃんには似てないね。お母さん似なんじゃない?」
ニ「確かに、かもね。」
「…」
相「? 潤、どうしたの?」
「…俺、行ってくる。」
ニ・相「「え?」」
「俺、あの人の所に行ってくる!」
相「潤?!なに?え?!潤!」
これは、勘だ。
いや、勘だけど勘じゃない。
あの人は、大野くんのお父さんではない。
でも…だからこそ、今しかないと思ったんだ。
「っは……」
じゅーん!と俺を呼ぶ雅紀とニノの声
それを背中で聞き流して
俺は、大野くんとあの人を追って
走り出した。
