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雪に咲く花

第32章 すれ違いの始まり

亘に不満をぶつけてから、彼からの連絡が何度か来たが、今の雪斗には話し合う気にもなれない。
「亘の馬鹿!人の気も知らないで」
亘の本心を、まだ知らない雪斗には、彼の気持ちが離れたように感じてしまったのだ。
亘は、そのまま悠希を家に住まわせるといい、更には大切な宝物を壊されたことも、あまり深く考えてはいないように感じる。
もしかして、自分より気の合う悠希といるのが良くなったのかも知れない。
悠希が、亘に思いを寄せていることは感づいていた。
亘から、本心を聞くのが恐くて、もうあれから2週間も逃げ回っている。
「駄目だな。俺、うじうじしてるのって嫌いなんだけどな」
モヤモヤしたまま、ベッドに寝そべった。

「雪斗、元気ないわね。何か、あったの?最近、亘先生とも会ってないみたいだし、喧嘩でもしたの」
さすがの美紅も雪斗の様子が気になり始めていた。
「姉ちゃん、俺達、もう駄目かも知れない」
不思議と美紅には、話したくなっていた。
そして、先日の亘の家での出来事を語り始めていた。

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