
雪に咲く花
第22章 本物の悪魔
「そうだったのか。君も自分を表に出せなかったのは辛かっただろうね」
過去のしがらみで、自分の素顔もさらけ出せず、双子の兄との対面も許されず、どんなに、寂しい気持ちだっただろうか。
「そんな僕にも、ひとつだけ心の支えがあったんですよ」
「心の支えってどんな?……」
「秘密です」
黒沢の心の中には、決して実ることのない恋する相手がいる。
この秘密こそ、誰にも打ち明けるつもりなどない。
「もう一度確認するが、君は僕の母親が憎いかい?」
念をいれるように亘が尋ねる。
「何故、僕が、福原先生のお母さんを恨まなければならないんですか?第一、叔母のことなんて全く覚えていないし、家が複雑なのも、両親の責任です。もし恨み言を持っているなら母のほうでしょう」
黒沢の言う通りである。
母が死なせた女性の親族で一番近いのは、妹である黒沢の母親なのだ。
しかし、彼女は、子供達を捨ててから消息不明の状態だという。
彼女たち姉妹の両親も、既に他界しているし、母親の不倫相手であった男も、今は再婚しており、過去とは関わりたくない様子だ。
それならば残るはもうひとり……。
過去のしがらみで、自分の素顔もさらけ出せず、双子の兄との対面も許されず、どんなに、寂しい気持ちだっただろうか。
「そんな僕にも、ひとつだけ心の支えがあったんですよ」
「心の支えってどんな?……」
「秘密です」
黒沢の心の中には、決して実ることのない恋する相手がいる。
この秘密こそ、誰にも打ち明けるつもりなどない。
「もう一度確認するが、君は僕の母親が憎いかい?」
念をいれるように亘が尋ねる。
「何故、僕が、福原先生のお母さんを恨まなければならないんですか?第一、叔母のことなんて全く覚えていないし、家が複雑なのも、両親の責任です。もし恨み言を持っているなら母のほうでしょう」
黒沢の言う通りである。
母が死なせた女性の親族で一番近いのは、妹である黒沢の母親なのだ。
しかし、彼女は、子供達を捨ててから消息不明の状態だという。
彼女たち姉妹の両親も、既に他界しているし、母親の不倫相手であった男も、今は再婚しており、過去とは関わりたくない様子だ。
それならば残るはもうひとり……。
