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WーWING

第3章 俺達、WーWING

「ご馳走さまでした」


 隼斗は手を合わせて、頭を下げる。


 優雅は味噌汁を飲み干すと、箸とお椀をトレイに投げるように置いた。


「相羽さぁ、いただきますは言わねえのに、ご馳走さまだけは言うんだな」


「あまりに美味そうだったからさ、言うのも邪魔くさかったんだよ。昼の弁当を食ってから、おかわりしにきたんだよ」


「あ、俺の質問、しっかり覚えてたんだ……てか、食うの早すぎねえか? デブにはカレーは飲み物だって言うけどよ、まさに、ドリンク感覚じゃねえか」


 優雅の前には、隼斗はいなかった。


「あれ? どこいった?」


 再びカレーを乗せたトレイを持って、隼斗が笑顔でやってきた。


「おかわりかよっ!! どんだけ食うの!?」


「だって、腹減ってさぁ、勉強もできないじゃん」


「学食でカレーおかわりしてるやつ、初めて見たわ」


 すると、なにも言わず、隼斗の手がゆっくりと迫ってきた。


 その手は優雅のトレイにある、漬け物が乗った小皿に向かっていた。


 手が漬け物の皿を掴むと、自分が食べているカレーの中に中身だけを入れた。


「食べないんならちょうだい」


「皿を取る前に言えよ」

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