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僕ら× 1st.

第27章 牛、歩く --Mkt,Ar

自分でもそれはあんまりだと自覚している風な花野は、私に尋ねる。

「ねぇ、マコは滝沢君に何をあげるの?」

私たちにとっては3年目のクリスマス。
かといって学生同士だし、そんな大したことはできなくて。

「うん、どうしようかな。あいつ、写真好きでしょ?撮らせてあげよっかな。無修正フルヌード、撮影したいらしいの」

低コストだけど、きっと何よりも喜ぶと思うのよね…。

「わお!」

と瞳キラキラの玲香。

「え?そ、なんだ…」

突然のガールズトークに目を白黒させる花野は、面白いんだけど。

「なあに?……もしかしてもしかしてもしかしてあんた!」

花野に人差し指1本を向けて迫ると、彼女はツツツと身体を横にずらす。

「な、何でしょうかっ?」

「まだヴァージン?」

この秋くらいから怪しいかな?と思ってはいたんだけど。

「え?花野ちゃんって前の彼氏は?」

事情を知らない玲香が驚く。

「速水とはなかったよね?」

だからあいつは花野を好きなくせに、あの肉食女にふらついたんでしょ?

「実際はどうなのよ?」

私と玲香は興味深々で花野を窺う。

「……えと、そういうお話の時はどんな顔をしたら?」

彼女は視線をちょこちょこ動かして、時間を繋ぐ。

「まだなのね…」

私がそう言うと、両手で顔を覆ってうつ向き「うん」と頷いた。

「アル先パイって我慢強いね。もう9ヶ月でしょ?私なんてつきあって2ヶ月だったな」

玲香の暴露に、「私は3ヶ月」と加えて花野への追求を再開する。

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