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僕ら× 1st.

第27章 牛、歩く --Mkt,Ar

***

花野ちゃん家からの帰り道、カサカサと乾いたポプラの葉を踏んで通りを歩く。

と、いつものように現れた柊。
ニヤニヤと俺を見る。

「んだよ?」

「……部屋から出てくるの早っと思ったけど、見せつけられちゃったな。ほら、赤飯炊いてやったぞ」

白米好きの俺に、どデカい赤飯握りを渡してくる。

「あ、ああ。実はまだ」

部屋での出来事は知らねぇみたいだけど、階段は見たってとこだな。

「まだ?緊張して勃たなかったか?」

何てこと言いやがるっ!

「ちっげぇよ!勃ったけど、我慢したんだよっ!」

「お前、声でかいっ!……で、何で?」

前を歩く何人かに聞かれたかも知れねぇけど、そんなんお前が聞くからじゃねぇか。

「もう少し待ってほしいって言われたから」

俺の部屋に入った時点で了承済みだと思ったけど、それはまあ俺の勘違いだったわけだし。

「ははっ。おあずけくらったか」

「いいんだ、それでも。俺と花野ちゃんはラブラブだから」

「お前、階段でいちゃつくなよな」

ふっ。
あれは花野ちゃんから仕掛けてきたんだぜ?
なんて、彼女が恥ずかしがるだろうから誰にも教えないけどな。

「てか、この赤飯握り、何入ってんだよ?すっげ海じょっぱいんだけど…」

「ああ、童貞にはわかんねーよな」

………ばっかやろ、今のでわかったよ。

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