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僕ら× 1st.

第27章 牛、歩く --Mkt,Ar

「花野ちゃんの水着姿、見たことねぇ。スクール水着姿も…去年、水泳とらなかっただろ?」

別にやましい気持ちはなかったけど、3年の俺たちと入れ違いに1年がプールに入る時に、花野ちゃんの姿はなかったもんな。

「うん。私、高校体育は水泳する予定ないの。ナギナタするんだぁ」

そう。
俺らの高校の体育は種目が選択制で、シーズンごとに自由に選べる。

夏といえば水泳だろうに、彼女はナギナタ?
よりによってナギナタ?

「できんの?」

「できないけどするの!カッコいいもんっ!」

そう言いながら、両手で軽くガッツポーズをする。

……体育館に見学に行こうかな。
いや、うちの道場に誘ってみるか……。

と、彼女は口元に人差し指を当てて、「んー?」と考える。
……立て続けにそんな男心をくすぐる所作すんなよ。

「そういえば私も侑生君の水着姿見たことない。泳げちゃうの?」

ポツリと彼女は言う。
"泳げちゃうの?"って、花野ちゃんは…泳げねぇんだろな…。

「人並みには泳げるよ?それに、何なら今脱ぐけど?」

下に着ているシャツごとセーターをバッとまくりあげてみせると、彼女は真っ赤になって慌てだす。

「いや、いいっ。いいから隠してっ!」

か、可愛いじゃねぇか……。
俺のこと、ちゃんと意識してくれてんだ。

「ふっ。楽しみだな」

プールデートも悪くない。
彼女も前向きに考えてくれてるんだから。

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