テキストサイズ

僕ら× 1st.

第27章 牛、歩く --Mkt,Ar

「ごめん、花野ちゃん。俺、強引だった」

シたい気持ちがぐわって襲ってきて。
留まることができて、よかった……。

うつむいて背を向ける彼女に呼び掛ける。
服を整える彼女から、「くすん」と鼻が鳴る。

まだ、身体をゆるせるまでは俺のこと好きじゃねぇ、か。
まだ伊織がうろついてる、か。

「なぁ、花野ちゃん。ずっと傍にいてくれな?俺、花野ちゃんを傷つけてまでする気はないから……」

ゆっくりと彼女は顔を上げて、そのまま天井を仰ぎ、少ししてから元に戻す。
その後、ぱっと振り向いて明るくこう言った。

「ねぇ、侑生君。プールに行こ?」

「プール?」

「そう。プールで慣れてから」

慣れてから?
慣れてからならいいの?

そういえば、伊織も彼女とプールに行ってたよな……。

「そだな、それもいいな」

ここは彼女のペースに合わせなきゃな。

花野ちゃんの水着姿なんて俺、久しぶり?
いや、初めてじゃねぇか!

ストーリーメニュー

TOPTOPへ