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僕ら× 1st.

第26章 ディスポ --Shu,R

それから。
俺がさっき花野ちゃんについていこうとしたアルを止めたこと、2人とも見てたよな。
不自然に思っただろうな…。

アルのために、ここは和波さんには説明しとかなきゃ。

アルが狙われているかもしれねぇなんて、彼女の兄貴には言えねぇ。
そんな危ない男とはつきあうなって誰しも思うはず。
だったら。

「居松。さっき、花野ちゃんのこと守ってくれてありがとうな」

「いえ、俺もハンカチ持ってたんで。それに、アル兄も脚を痛めてますから」

こいつ、こんな返ししてきた…。

「よくわかったな。あいつ、花野ちゃんの前では強がってるから。ありがとう」

当然、横で聞いていた和波さんはアル負傷に驚く。

だってアルはピンピンして見えるから。
実際、アルはピンピンしてるから。

居松、やっぱただ者じゃねぇ。

この場を瞬時の判断で実に自然に切り抜けた。

俺とアルの素性を知っているんだ。
俺が何を危惧したかも知っているんだ。

居松は十中八九、"T"に関わる者。

きっと、ブレーン小柴の手の者。

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