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僕ら× 1st.

第26章 ディスポ --Shu,R

「依田君、痛い?呼吸しにくくない?何か私にできることある?」

花野ちゃんは、依田の冷ハンカチを裏返して額に当て直す。
その甲斐甲斐しさぶりに、依田じゃなくともキュンとくるかも…。

「うん。腕か肩辺りが折れてる感じだけど、大丈夫。心配してくれてありがとう…花野ちゃん」

生命に別状なしと判断された依田の迎えは、もう少しかかりそうだ。
カタバミの布団の上に寝かされ、その顔と胴体に2人が影を作る。

「何、お前。重傷に事欠いて呼び方変えてんだよ?」

「だってさ、アル兄はともかく、居松まで下の名前で呼んでるんだよ?じゃ、俺も」

「……じゃ、彼氏の俺は……花野…、うわっ、テレる」

アル、何を今更。
お前、時々どさくさに紛れて呼び捨てにしてたじゃねぇか?

と、さっきから鳴っていた緊急車両からの音が重なって鳴り響く。
低い遠ざかる音と、高い近づく音。
こういうの、ドップラー効果っつったっけな?

いや、このたぐいの質問はしちゃなんねぇ。

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