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僕ら× 1st.

第26章 ディスポ --Shu,R

と、花野ちゃんがタッと走りだす。

「待って!」と追いかけようとしたアルをひっ掴み、居松に頼もうとしたが、ヤツは俺が顔を向ける前から彼女に付き添って走った。

この中で組織的に生命を狙われるとしたらアル、お前なんだ。
そのお前が一緒に走ったら、花野ちゃんが巻き添えをくらう。

了解のアルは戻って来るまでの2人に視線を向け、いつでも飛び出せる体勢をとる。

花野ちゃんと居松は水道でミニタオルとハンカチを濡らして、和波さんの赤く腫れつつある患部と依田の額に当てた。

意識のない大将は無理に起こさない方がいいかもしれないと、そっと小さな手のひらで風を送る。

その行動をじっと見守るアル。

俺はスマホを覗き確認する。
俺たちのクルマは本体は損傷がないものの、"車輪に何らかの異常有り"と標示が出ていた。
この信号は家の者にも届いたろう。

じきに大輔か誰かが来るはずだ。

サイレンに顔を上げると、住宅の窓に反射した赤色灯が目に入る。

5分足らずで公園横に到着した救急車は、先に大将を運んでいく。

ここからは見えにくいが、現場ではレスキュー隊が活動している様だった。

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