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僕ら× 1st.

第22章 遭難 --Shu,Ar

ああ、俺が話すよ…。
空と陸、もちろん俺の運転だけど、それは口外できねぇし。

「タクシーで」

と、しれっと答える。

「これから家に帰るのか?」

「まさか。この近くに泊まり込むよ」

「何しに来たんだ?観光か?」

何故俺たちがここにいるのかは、わからなくても仕方ねぇけど。

遭難情報を受けて来たってのに、観光にされるとは。
で、俺にこの場を任せていた男が思わず口を開く。

「アホか」

アル…、その通りなんだけど、お前の口の悪さに花野ちゃんがびっくりしてるぞ?

「教師に向かって"アホ"とは何だ?」

「くくっ。まあ、この2人は俺に任せてよ。依田君は、みんなとロッジに帰る?」

もっちーの肩に手をやって和波さんが笑う。

「いや、でもこいつら、うちの生徒なんだよ。で、受験生だよな?こんなとこで滑ってるわけには」

と、アルがかぶせる。

「俺も柊も余裕で内定貰ってるよ?」

いや、俺は面接が残ってるけど。
それに"内定"って、就職じゃねぇし……。

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