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僕ら× 1st.

第22章 遭難 --Shu,Ar

受付の女性が俺たちに声をかけに来たと同時に、ロビーと救急科の分岐で壁にもたれていたアルの表情が変わる。

俺たちは礼を言って、アルのいた方向に向かった。
アルが進む先には車イスに乗った花野ちゃんと和波さんと、生徒が2人とあれは、望月?
そして、白衣の道案内人。

「花野ちゃん!怪我したの?足だけ?」

ラブリーな花を背負ったアルが、彼女の横でその姿をチェックする。

「先パイ。あ、ありがとうございます」

花野ちゃんにしてみれば、"何故ここに俺たちが?"だろうな。

「ヒビが入っちゃってね。でも、他はどうもないみたい」

和波さんが教えてくれる。

「痛い?」

「痛いというか、熱い感じです」

「そっか。早く治るといいな」

「夜になる前に見つかってよかった」とアルが呟くと、彼女は微笑んだ。

俺たちは道案内人について、エレベーターに窮屈に乗り込んだ。

「何でここにお前らがいるんだ?」

担任教師は3人の招かざる参加者に渋い顔を見せる。

「えと、先生?」

「"えと"じゃねぇよ、吉坂。お前ら、何してんだよ?」

「まあ、もっちー。花野たちを心配してくれた優しいコたちじゃない。叱らないでよ?」

"コ"って……。
そして、"もっちー"って……友だち?

包帯を巻かれた花野ちゃんの足を見ながら、晄志は言った。

「で、あとの2人はどこにいるんですか?」

「治療中だ。そのうち出てくるさ。……依田、お前、クラス委員だろ?」

「はい。クラス委員として心配なのでやって来ました。班長には伝えています」

もっちーは目の下をピクリと震わせたが、何も言わなかった。

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