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僕ら× 1st.

第22章 遭難 --Shu,Ar

和波さんからの知らせを受けた俺たちは、あの部屋の前まで戻って立ち止まり、中の様子を窺う。

「どこでこれを手に入れたの?お願いだから場所を教えてよ」

まだ口を割らねぇか?
それにしても穏やかな男。
事情を知らないまでにしても、先程の俺たちの殺気は充分感じていたはず。

「えっと、」

「昨日、この建物の前に落ちてたかな…?」

「昨日の…いつ?」

昨夜、アルはこの発信器からの信号を優しい眼差しで見つめていたのに。
すでに花野ちゃんの手元にはなかったのか?

「昨日、ここに着いた時に見つけたんだよねぇ?」

「そうそう」

駐車場から荷物を持って歩くうちに、落としたということか?

とにかく、依田にも花野ちゃんの無事を知らせてやろうと、俺は送信した。

「てことは、それからずっとキミが着けてたってこと?落とし物なのに?」

そうだな。
いくら好みでも、落ちているものを身につけたりしねぇよな?

「可愛かったから…」

「これと同じような物を、俺は今朝見たんだけど。似てるだけ?」

今朝?
依田のクラスは隣のロッジ。
ということは?

「もっかい聞くね?これをどこで、いつ手に入れたんだ?」

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