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僕ら× 1st.

第22章 遭難 --Shu,Ar

山から最寄りのホテル屋上に着陸して、クルマをとばす。

向こうではヘリコプターが1基、旋回していた。

俺たちはまず、依田のロッジを訪れる。
担任教師はまだ帰っては来ていなかった。
どこかに集まって右往左往しているのだろうか?

依田を伴い、すぐ北のロッジに入る。
発信器はやはり、このロッジ内…。

各部屋では待機中の生徒たちが、暇つぶしにゲームをしたり、お喋りしたり。

「この部屋…」

俺の持つモニター上の点滅が激しくなり、最接近を報せる。
この中にいるんだよな?

依田がノックすると、中から女子が2名顔を覗かせた。

「えっ!アル先パイっ、どうしてっ?」

俺の形相がそんなに怖いか?
ヤツらはびくびくと俺を見る。

「いませんね…」

「何でっ……?」

俺は連中を押し退けて、室内を探し回る。
押し入れの中、衣装ダンスの中、シャワールームにもトイレにも……彼女の姿はなかった。

もしや、天井裏?
再度押し入れに入り、天井の四角い板を押し上げる。
スマホライトの光でくまなく探していると、部屋から柊の声が響いた。

「アル!降りてこい」

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