テキストサイズ

僕ら× 1st.

第21章 健闘 --Ar,Thk,Kn,Shu

俺の腕にうずもれる花野ちゃんからは、ふわっと甘酸っぱいフルーツの香りがした。
もう、伊織の香りでも何でもいい。
俺が上書きしてやる。

「花野ちゃん、治った?」

うつむく彼女は俺が覗くと、顔をずらす。

「ん、でもっ気失っちゃいそうです。お願い、見ないでください」

「うそっ。もぉ、可愛いーっ!俺もドキドキ止まんねぇよ」

もうこの場で押し倒したいっ、キスしたいっ!
…っ、そんなこと考えるな、俺っ。
ここで襲ったりなんかしたらおしまいだ!
だけど、この腕を緩めたくはない!

"落ち着け俺、落ち着け俺"と心の中で繰り返していると、花野ちゃんがポソッと呟いた。

「先パイ、スーツ反則っ」

…俺がサンタドレスの花野ちゃんにドキマギした様な感じなのかな?

「もしかして普段着の俺は、そんな好きじゃない?」

花野ちゃんって、スーツ萌えっコだったんだ…。
制服のブレザーとどう違うんだろ?

「そんなこと、ありませんよ?でも今日はバブルリングがかかったみたいです」

……よくわかんねぇけど。

「花野ちゃん、俺の彼女になってくれるだろ?」

もうここまできたら"イエス"だよな?
俺の想い、通じたよな?

ストーリーメニュー

TOPTOPへ