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僕ら× 1st.

第21章 健闘 --Ar,Thk,Kn,Shu

と、肘が顎に入ってしまい1人倒れる。
やっちまった……。
こいつが殴ろうとしてきたのに、お前が横からかかってこようとすっからだよ。

倒れた仲間に気を取られた1人を払い飛ばす。
…試合中に敵を見ないバカがいるか?

倒れた輩は起き上がって膝をつく。
……土がついたら終わりってわけだな。
往生際が良いことで。

俺の相手は残り1人だけど、可哀想になってきたよ…。

「も、やめる?」

たじっとした相手だけど、奇声をあげて向かってきた。

冷静さを欠いたらおしまいだよ…。
身を翻して足を引っかけ、つまづく背中をつかんで振り飛ばしてやった。

アルを見ると、まさに踵落としの最中…。
手加減してやれよ……。

6人は仲良く去っていく。
捨て台詞を言わないのは立派だな。

「俺はもっとやりたかったんだけど…またなー」

ヤツらに手を振るアルに「怪我はない?」と尋ねるが、丁度頭上を列車が通り、聞き取れない。
が、まぁ見るからに平気だろ。

空を見上げたアルは、指差して俺を見る。

ん?

アル指の方向を見上げると、虹が架かっていた。

と、静かになった高架下でヤツの叫び声が響く。

「俺のブレザー!」

俺たちのブレザーも傘もなくなっていた。
あいつらじゃねぇ。

なら、さっきうろついてたホームレス親父だな。
じゃ、も換金されちゃったかな。

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