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僕ら× 1st.

第21章 健闘 --Ar,Thk,Kn,Shu

高架下の雨がかからない場所に傘を置き、ブレザーを脱ぎ捨てる。

「お前、明後日面接だからな?顔、殴られんなよ?」

俺の忠告をわかってるのかヤツは目の前の男たちに手を振る。

「さって、ヨロシク!」

ニコニコニコと構えるアルに、相手は戸惑っている。
身長180~190cmのがっしり体型が6人、みんなどうあっても高校生に見えねぇ。

「お前ら、吉坂アルと本條柊だな?俺たちはS高の柔道部。お前ら空手部のくせに柔道で優勝…」

ヤツらの前口上を遮って、アルは自分と遊んでくれる相手を募る。

「そんなのどうでもいい。喧嘩でいいんだろ?いっきにやろうぜ?俺に何人来てくれる?」

柔道部か。
そのプライドがあるなら武器はないなと、俺は胸を撫で下ろす。

「お前ら女子と遊んでりゃいいのに、真面目に大会してんなよ」

高校生だってのに髭を蓄えた豪傑が唾を飛ばす。
…何だ、嫉妬か。

それを受けてアルがとぼける。

「あ?柊のことか」

おい……。

「お前もだ!」

と、髭男がアルにつかみかかる。
よし、開戦だ!

ヤツらはわりと律儀に3人に分かれて俺たちに向かってきた。

お互いシャツを引っ張られ、ボタンを飛ばしながら入り乱れる。

「甘いね」

体格で劣るアルだけど、その分身軽に攻撃をひょいとかわす。
その際にできたわずかな隙をぬって腹部の急所を狙う。

「汚ねっ!」

「安心しろ、玉は外す」

アルも余裕そうなので、俺は目の前の3人に集中することにした。

いくら柔道が強くても喧嘩とは違うからなぁ。
って、こいつら喧嘩じゃなく対戦する気だったんだろうけど。

好戦的な相方で悪ぃな…。

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