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僕ら× 1st.

第21章 健闘 --Ar,Thk,Kn,Shu

~本條柊side~

昼のインタビューを終えて、清々しくヤツは教室に帰って来た。
クラスが違うので廊下で待っていた俺は、ヤツについてその教室に入る。

「マジ丸くなったな、お前」

「そうだろ。あの女が変な挨拶すっから逃げたくなったけど、我慢したさ」

「ああ、そっち……」

あれは我が放送部の伝統だから、聞き流すしかねぇよ。

「んー、伝わったかなぁ?」

椅子に座り、ウーンッと伸びをする。

「玉ねぎが好きだって?」

「いや、前に何かでマカダミアナッツが好きって言ったらさ、大量にもらって困っただろ?玉ねぎなら大丈夫かと思って」

ああ、新聞部の紹介でね。
あったな、ナッツまみれの時期が。

で、そこで玉ねぎ?
その選択はよくわからねぇな。

趣味だってさ。
最近はプログラミングというよりも、ハッキングじゃね?

そういうごまかしもできるようになってきたんだ、、成長したんだなぁっとしみじみ。

そこへ女のコが2人やって来た。
うちの1人がどもりながらアルに小袋を差し出す。

「あのっ、吉坂君。お、オニオンリング買ってきたの。っ食べて?」

放送聞いてすぐに売店に駆け込んだのか…。

「え……あ、ありがとう…」

アルが受けとると、そのコは「あっ、握手してくれる?」と手を伸ばした。

2人が去った後の手のひらを眺めながら、アルが言う。

「なぁ、柊。女って何考えてるかわかんねぇな」

「……」

俺は、お前も大概かと思う。

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