テキストサイズ

僕ら× 1st.

第21章 健闘 --Ar,Thk,Kn,Shu

「俺、花野ちゃんの兄貴に勝てねぇかも」

と、彼女は俺の言葉にクスッと笑う。

「いつになく先パイ、弱気ですね~」

「だって兄貴って超エリートだろ?」

武道に秀でて、チェロも弾けて、おまけに宮石家の次男だろ?

それに花野ちゃんは、俺と兄貴の対戦なら、兄貴を応援するんだろ?

「吉坂先パイだって負けてませんよ」

「どういったところが?」

遜色ありありだろ?

「だって先パイは、フォルダ保存とかできちゃうんでしょ?便利~。お兄ちゃんは数学とか化学物理にそんな詳しくありませんもん」

俺は機械か?
でも得意分野では兄貴よりリードしているとわかって嬉しい気分。

「ないスイッチ押しといて、よく言うよ」

と、彼女が1歩後ろへ下がり身構えたかと思うと。

「勝利スイッチ、どーん!」

と俺に向けて前進し両手を突き出すから、よろけて背後まで来ていた柊にぶつかった。

「うっあ、突き飛ばすか?」

そんな俺にニコニコと手を振る。

「ラブモード解除、どーん!」

俺は何度も蹴り飛ばそうとする柊をかわしながら、チームの元へ行く羽目になった。

当然、俺のチームは危なげなく優勝し、彼女は咲き誇る笑顔で俺を迎えてくれた。

そうだな、俺の試合を彼女が観てくれてるだけでも奇跡なんだから。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ