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僕ら× 1st.

第21章 健闘 --Ar,Thk,Kn,Shu

「優勝したら右にもキスして?」

ダメ元で聞いてみるけど。

「先パイ絶対に勝ちそうだからダメです」

と、首を横に振ってすげなく返される。

「何だよそれ」

強くて勝っちゃうのは俺のせいじゃないし。
それに。

「わっかんねぇよ?次は俺、副将だし」

第1試合は先鋒をさせてもらったけど、他のヤツらも活躍したくてウズウズしてるしな。

「それ、関係ないですよね?」

ま、俺に回ってきたら勝つしかねぇけどさ。

後ろの方で柊が俺を呼ぶ声がした。
もう始まんのかよ。

でも、聞こえないふりして彼女と喋りこむ。

「いやでも俺、メインは柔道じゃなくて空手だし」

反則負けならあり得るわけで…。

「大丈夫です。私のお兄ちゃんも空手部だったけど、柔道、剣道も強いみたいですから」

「いやそれ、花野ちゃんの兄貴が化け物並に強いだけで、空手部関係ねぇし…。俺、剣道はあんまりだし」

俺と入れ違いに卒業した花野ちゃんの2番目の兄貴、宮石先パイ。
一昨年の夏合宿で上級生たちが話していたのを小耳に挟んだな。
1人で20人程を相手にして勝ったとか。
それが、伊織に剣道を教えたとかいう兄貴…。

伊織と対戦するまでは、俺もそこそこ剣道いけると思っていたんだけど、チビのくせにあいつは滅法強かったよな。

俺も花野ちゃんの兄貴に仕込んでもらおうかな?

そゆえば部室に歴代の部員写真とかあったけど、当時の俺は花野ちゃんを忘れようとしていたから全く見てなかったな。
どんな兄貴か興味はあるけど、もう俺たち3年は引退したから、あえて見に行くのもな。

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