
僕ら× 1st.
第21章 健闘 --Ar,Thk,Kn,Shu
~吉坂侑生side~
「花野ちゃん!俺、勝ったよ!見てた?」
1試合が終わると、彼女の元に走り寄る。
彼女は立ち上がってハイタッチに応えてくれた。
「はいっ。先パイ、すごく強くて、技キレイ!桃湖も褒めてましたよ!」
羽賀はどうだっていいんだよ。
「…まだ先パイなんて言ってるの?先月、侑生君って呼んでキスしてくれたじゃね?」
褒められて嬉しいんだけど、わざと不服そうに顔を傾けて彼女を見る。
すると、目を逸らして慌てだすから面白ぇ。
「あれ、忘れて?」
うつむきがちにチラッと俺を窺いながら小声で話す。
「無理。もう花野フォルダに保存した」
あんな不意打ち、忘れるわけねぇ。
キスもだけど、その後の恥ずかしそうな顔…絶対に忘れはしねぇよ。
「フォルダ?保存?」
「そ。俺の記憶力、半端ねぇから」
何たって彼女から念願の好意を貰えた瞬間だからな。
柊の指示であっても、したくなきゃしなきゃいいわけだし。
俺は「ふふん」と勝ち気で胸をそらす、と。
「ぴ」
真剣な表情の彼女が細い腕をぐっと伸ばし、人差し指で俺の鼻をつんと押した。
「何?」
「強制忘却!」
「ははっ、そんなスイッチありません」
キミの言動ひとつひとつが、俺の胸をかき乱す。
忘却スイッチを押したいのは俺の方。
伊織を早く、忘れて……。
「花野ちゃん!俺、勝ったよ!見てた?」
1試合が終わると、彼女の元に走り寄る。
彼女は立ち上がってハイタッチに応えてくれた。
「はいっ。先パイ、すごく強くて、技キレイ!桃湖も褒めてましたよ!」
羽賀はどうだっていいんだよ。
「…まだ先パイなんて言ってるの?先月、侑生君って呼んでキスしてくれたじゃね?」
褒められて嬉しいんだけど、わざと不服そうに顔を傾けて彼女を見る。
すると、目を逸らして慌てだすから面白ぇ。
「あれ、忘れて?」
うつむきがちにチラッと俺を窺いながら小声で話す。
「無理。もう花野フォルダに保存した」
あんな不意打ち、忘れるわけねぇ。
キスもだけど、その後の恥ずかしそうな顔…絶対に忘れはしねぇよ。
「フォルダ?保存?」
「そ。俺の記憶力、半端ねぇから」
何たって彼女から念願の好意を貰えた瞬間だからな。
柊の指示であっても、したくなきゃしなきゃいいわけだし。
俺は「ふふん」と勝ち気で胸をそらす、と。
「ぴ」
真剣な表情の彼女が細い腕をぐっと伸ばし、人差し指で俺の鼻をつんと押した。
「何?」
「強制忘却!」
「ははっ、そんなスイッチありません」
キミの言動ひとつひとつが、俺の胸をかき乱す。
忘却スイッチを押したいのは俺の方。
伊織を早く、忘れて……。
