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僕ら× 1st.

第20章 夏祭り --Hzm,Mkt,Ar,Kn

黒い夜空に高く上がった白い煙が消えていくのを、静かに見つめた。
最後に力強く響いた打ち上げ音が耳に残る。

チムニートップのその向こう。
願った人の元に身軽に飛んで行けたらいいのに……。

伊織君はあのコを選んだんだから、私が邪魔しちゃいけないのだろうけど。

「これで最後か?最終の花火に"La Fin"ってメッセージが出るといいのにな。そう思わね?」

「先パイの言いたいこと、よくわかります」と私は返答する。

「まだあるのかな?って期待しちゃいますよね」

私との恋人ごっこは終わりだと、伊織君の行動は語る。
なのに私はまだ、彼の笑顔を待っている。

この白い煙が消えたら、また花火が上がると思ってる。

ほら、もう本当にお仕舞い。

気づかれないように涙を拭う。

先パイは立ち上がろうとする私を制す。

「も少し人が空くまで待と。圧迫地獄は嫌だろ?…それに、どしたー?」

バレてる…。

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