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僕ら× 1st.

第20章 夏祭り --Hzm,Mkt,Ar,Kn

促されて説明する。

「王子さまが遠い星に住む人に会うために、身体を置いて会いに行く物語があるんです…」

これだけじゃわけがわからないかもしれない。
だけど、これ以上詳しくすると、感傷的になっちゃってダメ。
涙は帰ってから、お風呂の中ででも流せばいい。
今日はもう散々迷惑をかけてしまったのだから。

「それは、会えたの?」

私の後ろにあった身体を横にずらして、顔を覗いてくる先パイ…優しすぎ…。

「きっと、会えました…」

帰る場所を探し当てた王子さま。

私はただ、見えていないだけ。
大切なものは目では見えないんだね。

「花野ちゃんもイオに会いたいよな。ここでいっぱい泣きなよ。俺の前だけなら許す」

優しい言葉に、押しつけられたその胸に甘えて泣いてしまいそうだったけど。

"俺の前だけなら許す"なんて、先パイったら相変わらず。

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