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僕ら× 1st.

第20章 夏祭り --Hzm,Mkt,Ar,Kn

「速水の兄貴なんだってな?」

「そうみたい。親戚って聞いてたけど、実は腹違いの兄弟って」

苗字が違うといちいち聞かれたくなくて、速水は親戚だなんて言ったんだろな。

「てことは、兄弟で宮石取り合ってたの?」

「ううん。アル先パイが引いてた」

中学卒業されてからこの間の私たちの入学式まで、アル先パイをほとんど見かけてないもの。
サマフェスと文化祭で少し見ただけ。

「そうなんだ。鬼畜なんとかって噂だけだったんだな。でも、速水がいなくなって喜んだかな…」

康史から、耳を疑うセリフが聞こえた…。
速水がいなくなって喜んだ?だと?

「バカなこと言わないで!アル先パイはそんな人じゃないっ!」

友だち思い弟思いの、仁義を通す素敵な先パイなんだから!

「ごめんっ、冗談だよ…夏祭り行こ?」と康史が言うけど、もうっ無視っ!

「俺は偶然見かけたとは思えないんだけどな…」

さっきからヨーダはヨーダでぶつくさ言ってるしっ。

「何よ、先パイが嘘ついてるっての?いいじゃない助けてもらったんだから!で、由奈とのデートがどうだったの?」

「相談を受けたけど竹崎が言ってないのなら、俺も言えない」

こいつら、使えないわっ!
怒りのオーラを背負いながら私は電車に乗り込み、気配を察した2人は気まずく黙りこんだ。

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