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僕ら× 1st.

第20章 夏祭り --Hzm,Mkt,Ar,Kn

静かになった車内でひとり、ハンドルを動かす柊先パイ。
私、アル先パイばっかり見ていたけど、柊先パイもカッコいいなぁ。
さっきだって、私をかばってくれた…。

この2人の遺伝子を持っているのなら、速水も成長すればそれなりになったかもね、と先パイたちの横顔を見ながらぼんやり思っていた。

ふと気づいたようにヨーダが質問する。

「先パイ、どうしてあそこにいらしたんですか?」

そうだよね、あの辺りに用事なんてないはず。

すると、柊先パイが説明する。

「……近くの道を通ったら、お前らが見えたから。気になって探してた」

ええ?すごい偶然…。

「ありがとうございます。俺たちだけじゃ、つかまってたと思います」

「吉坂先パイ、柊先パイ。ありがとうございます」

三度のお礼に、サイドミラーに映るアル先パイの顔が微笑み、花野の頭を撫でた。
それからアル先パイは顔を少し後ろに傾けて尋ねてきた。

「……その、友だちって?」

「あそこら辺に引っ越したはずなんですけど、違ったみたいです」

とヨーダが答える。

そうだよ、由奈…。
でも花野が尋ねた時、あいつら由奈を知ってる風だったよね?
話を合わせてきただけなのかな。
きっと、そうよね…。
由奈が書き間違えたんだ。

「住所、見せて?」

伸ばされた先パイの手に、由奈に書いてもらった住所を手帳ごと渡した。

「……あの地区だな…で、いなかったんだ?」

「はい……」

「他に連絡先は?」

「いえ、スマホも繋がらなくて」

「……竹崎由奈?」

手帳を見ながらアル先パイは呟く。

「ふうん。"由"に"奈"か……」

先程までのちょいラブモードなアル先パイが、真剣な思案顔。
ミラーから覗くそのギャップ、やっぱりカッコいい……。

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