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僕ら× 1st.

第20章 夏祭り --Hzm,Mkt,Ar,Kn

抱き締められた花野は身体をずらして、狭い助手席で自分の場所を求めようとする。

「あ、ベルト当たって悪ぃ…。脚しんどい?俺の上に乗っけていいから」

「先パイ。私、重いから」

「そんなこと知ってるよ。さっき抱えて走ったもんな。けど俺から離れんなよ。ここに2人いるの見つかったらつかまっちまう」

花野を逃さないように腕の力を強めたようで、「あっ」と短い悲鳴が聞こえる。

「これじゃバレちゃいませんか?私、足元に座った方が…」

「そんなの気にすんな。ドデカイ抱きぐるみになったフリしてろ」

アル先パイ…。
この機会に乗じて花野に触りたいのはわかる。
でも…さっきは感心したけれど、実は女心を全くわかってないんじゃあ?

花野に好かれたいんだよね?
心配になって口を挟んでみた。

「先パイ?ドデカイなんて言ったら花野が傷つきますよ?さっきは重いって認めたし…嫌われますよ?」

「それは困る。花野ちゃん、軽くて小さくてフワフワ浮いてるよ?」

膝に乗せた花野の顔を覗きこむけど。
先パイ、それフォローのつもり?

「…トリニトロ花野ちゃん、刺激注意です」

花野もまた、ベソベソの顔のままおかしなスイッチを入れる。
照れてんのかな?

「うわ!ニトロ基3つもくっついてんのかよ?ガキっぽい顔して」

…変な会話……。
アル先パイ、これに乗れるんだ…。

「起爆っ」

全く怖くない顔で、ぷくっと頬を膨らませて見せる花野。

「ふはっ。花野ちゃん、からかうの面白ぇ!ますます俺、手放せなくなるじゃね?」

ニシッと笑った先パイは、またまた花野をぎゅむっと抱き締める。

「ここで花野ちゃんが動いたら、俺が痛いからじっとしていて。これが一番ラクなの」

「え?でも……」

「な?」

「……はい」

その様子がヨーダの席からもよく見えるらしく、ヤツは窓の外を「ふぅっ」と息をつきつつ眺めた。

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