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僕ら× 1st.

第17章 水の中 --Khs,Ar,Thk

「はぁ、すっげぇな。俺、この曲も知ってるよ。何か胸に響くな。ゴッドファーザー?また見たくなったよ」

花野がいると、よう喋りよるわ。

「パート3に出てくる曲です」

お嬢様はヴィオラをケースに寝かせて合掌する。

「そうなのか。でも3だけ見るのもな」

「ですね!」

「うわ、俺、今夜眠れねぇ」

トータル約9時間、頑張ってくれたまへ。

笑いをこめて私は吉坂をあしらう。

「へぇ、じゃあ早々にお立ち去りください」

「そんな追い払わなくてもいいだろ?」

時間オーバー、私だって練習したいのよ?

「吉坂、ドラムできる?」

速水に憑依されているのなら、できるでしょ?

「はい、退場します。花野ちゃん、またねー」

吉坂がいなくなった音楽室で、花野はピアノに身を移す。
その横で私は右手のみでその旋律をポーンポーンと弾いてみる。
弦楽器の伸びとは全く違う感じ。

「カヴァレリア・ルスティカーナか、花野って男心つかむのうまいね!」

"ゴッドファーザー"に、この間は"スティング"と"明日に向かって撃て!"。
この3タイトル、渋すぎない?
速水の趣味なのかしら?

「え?そうかなぁ」

「そういう系統なら家にいっぱいあるの」と花野は笑った。

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