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僕ら× 1st.

第14章 P波 --Khs,Ior

軽いノックの後、「こんにちは」と元気に入ってきた宮石は、やっぱり女のコ。

彼女が加わっただけで空気が高揚し華やかになるのは、まだ俺の中に彼女が存在しているから?
それだけじゃない気がする。

さっきからここにいる2人は、スカートこそ履いているが、きっと別種に違いない。

「あれ?依田君どーしたの?しんどいの?」

ソファから身体を起こそうとする俺に駆け寄り、くりっとした瞳で顔を覗いてくる。

「いや、ちょっと寝てただけ」

宮石の背後で、俺にニヤっと笑いかける竹崎。
その表情は、"心配されて嬉しいだろ?"と語る。

そりゃ今現在、宮石と2人きりなら、この小さな幸せに浸るかもしれないが、変人竹崎と毒舌小津がいて、更には彼氏伊織もいるんだから。

タックル女を警戒する俺の視線に気づいた宮石は、身体をずらして竹崎に顔を向けた。

「ね、ね!花ちゃんって、見られると燃えるタイプ?」

俺から発せられる刺すような空気を物ともせずに、竹崎は「ここって陽当たり良好!」と胸を反らせて伸びをする。

この部屋で過ごす2人のことを言ってるんだな。
高2の歌姫がいるといっても、いない時もあるわけで。

「うーん?応援してもらえると嬉しいけど?」

宮石が、そんな竹崎の意図を汲まずに返事すると、ヤツも宮石の言葉を曲解する。

「きゃー!大胆っ」

「聞きました?ヨーダ様」と立ち上がったばかりの俺の背をバシッと叩く。

「花野、クラス何人残ってた?」

いつの間にか宮石に近づいた伊織が、彼女に話しかける。

答える彼女の髪が揺れるのをぼうっと見つめた。

「触りたい?」

と俺の後ろに回った竹崎が、自分の髪を一束取って俺の頬を撫でる。

俺がぷいと退けると、ニヤッとして伊織のテリトリーにいる宮石を呼んだ。

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