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僕ら× 1st.

第14章 P波 --Khs,Ior

「話が逸れたけど」と根岸が言った。

「マイコプラズマが激流行ってて、学級閉鎖となるところだけど、夏期休暇中の流行でクラスは関係ないので、罹患したヤツと濃厚なヤツだけ出席停止。寛解するまで部活動は禁止。学校祭をどうするかは検討中だ」

と言いながら、俺たちに感染症の症状などを書いたプリントを配る。

「生徒数が減るので、6クラス2階に別れているところ、3クラス1階にまとめる。暫くC組は、F組と合同授業だ」

F組といえば、宮石と滝沢。

「そうなんだ…ちっ、速水のヤローだけいい思いするのか」

口悪く小津が舌打ちする。

「滝沢は?」

「聞くまでもないでしょ?」

かかっちまったんだな、お気の毒。

「お前らも怪しいと思ったら、病院行けよー。解散!」

時刻は10時過ぎ。
このまま家に帰るのは勿体ない気がした。

と、小津が突然話し出す。

「あ、花野ー。第2音楽室においでよ。あんたのベターハーフもいるし。一緒にランチしよっ」

スマホ電話を終えると、小津が伊織に話しかける。

「ポチもついて来る?」

「あのな、俺は花野と帰るんだ。ついて来るのはお前だろ?」

そうだな、割り込んだのは小津の方。
でも伊織、ポチって呼ばれたのはスルーなんだ…。

と、油断していた俺は竹崎にタックルされてソファに落ちる。

「ね、ヨーダ。感染予防に熱いキスして?」

俺が怒りの言葉を口にする前に、上に乗ってきた竹崎があり得ない提案をする。

「速水と花ちゃんのソファで、ど?そしたらサッパリふっ切れると思うの」

「のけ。マジで怒るぞ」

こんなことされて、"はい、キスしましょう"って気分になるかよ?
もうすぐ宮石もここに来るってのに。
伊織も小津も唖然じゃないか。

「そんなに怒んなくたって。もう、照れ屋さんっ」

笑いながら離れた竹崎に蹴りを食らわせたい俺は、衝動が去るまでソファに埋もれた。

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