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僕ら× 1st.

第13章 ク"ニコ"ム --Shu

「何を騒いでる?」

ドサッと別のソファにアルを落とす。
ヤツは気を失っていた。

「本條!何してんだよっ?」

「父親に向かって何て口のききようだ?」

都合の良い時だけ父親面すんな。

「救急車は?」

窓に駆け寄るも、アスクレピオスの姿はなく。

「ふん、ここにいたのか。こいつは俺に任せろ」

「追い返したのか?」

本條は彩華さんを担ぎ上げると、そのまま出て行こうとする。

「待てよ!どこに連れていく気だ?病院に行かなきゃ!」

「俺の部下だ。お前が触るな」

うっすらと目を開ける彩華さん。

「だって、彩華さんは俺の…っ!」

"彼女"と言いかけたところで、本條の敵意を伴った鋭い視線に喉がつかえる。

「へぇ、お前…彩華とシたのか?この女は誰にでも脚を開くからな」

意地悪く右の口角を上げる。

「彩華さんはそんな女じゃねぇっ!降ろせよっ!」

「こないだ、こいつの脚の付け根にキスマークつけたの、お前か?」

「……」

彩華さん……。

「柊……」

本條の背中で、その唇が"好き"と動いた気がしたのは、俺の願望による幻想なのだろうか…。

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