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僕ら× 1st.

第13章 ク"ニコ"ム --Shu

年が明けて、3学期。
スキー研修で数日留守にした後の、3月のかかりだった。

学校から帰ると、リビングに近い廊下に彼女が倒れていた。

「彩華さん!どうした?」

鞄を放り出して慌てて駆け寄ると、ぐぐっと頭を俺に向けて彼女は言う。

「柊君、最期に会えてよかった……」

口元に白い泡、吐いたのか?
床が少し濡れているけど、血液や内容物は見当たらない。

「救急コールする!」

スマホ片手にアルがリビングのドアを開く。
俺は彼女を抱き、中へ入った。

リビングのソファに、彼女を降ろす。
流しでタオルを濡らし、彩華さんの口元を拭う。

「柊君、ありがとうね」

微笑みの顔で、彼女はガクッと意識を手放す。

「彩華さんっ!」

ものの4~5分で救急車のサイレンが近づき、アルは「誘導する」と玄関へ降りていった。

次にドアを開けてリビングに入ってきたのは、隊員を引き連れたアルではなく、アルを肩に抱えた本條だった…。

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